台所にて。
エメ太郎 「かーちゃん、今日の天声人語みた? ら抜き言葉がうんちゃら、ってやつ」
おかん 「今日の? ……それ随分前の話じゃない?」
エメ太郎 「うんにゃ今日だよ。そこ(テーブルの上)に出てる」
おかん 「あー、天声人語は見てないけど、もともとの投書欄は見たかも。それがどうしたの?」
エメ太郎 「いやぁ……なんちゅーか。自分らも“ら抜き言葉”気にする方やん? けど、それってやっぱ考え方が古臭いのかなぁと……」
おかん 「お母さん別にもうそんなの気にしてないわ。もう“ら抜き”が主流になってきてるんだし」
エメ太郎 !(゚Д゚;)
(……今まであっしの言葉遣いをいちいち訂正してきた君がそれを言うか!)
しばし無言で洗い物をする親子。
エメ太郎 「けどさー。今って“ぜんぜん”の使い方もなんか変やん?」
おかん 「あー」
エメ太郎 「否定に対して使われてたものが、今は肯定として使われてるやん? たとえば“このおかず美味しい?”って聞いたときに」
おかん 「“ぜんぜん美味しい!”とか言うあれね」
エメ太郎 「うむ。あれって気持ち悪くないかね」
おかん 「もう、でもそういうふうになってきちゃってるんだから仕方ないねぇ~」
エメ太郎 「………」
再度無言。
エメ太郎、自分よりも明らかに骨董品に近い隣の人について考えをめぐらせる。
昔は誰よりも言葉遣いに対して厳しかった隣の人“おかん”。
年をとると頭が固くなるというが、この人の場合は何かがどんどん緩くなっていく気がするのは気のせいか。
「自分もこの人と同じ年齢になる頃にはこの境地に至るのだろうか……」
と、考えていたとき、隣の人が口を開く。
おかん 「……ちゃんがね」
エメ太郎 「あ?」
おかん 「おじーちゃんがね、昔……」
エメ太郎 「私のじーちゃんか? それとも君のじーちゃんかい?」
おかん 「ああ、おかーさんのお父さん。あんたのおじーちゃんね」
エメ太郎 「はぁ」
(じーさまには小さい頃にろくでもないイタズラやら憎まれ口ばかり叩いていたので、反射的に後ろ暗い気持ちになるエメ太郎。ちょっと緊張)
おかん 「昔教えてくれたことなんだけど、“先(さき)を越す”って言葉あるでしょ?」
エメ太郎 「あるね」
おかん 「あれってね、昔は“せんをこす”って言ったんだって。さき、じゃなくて“せん”だったんだって」
エメ太郎 「ええ? ……そりゃ初耳だわ」
おかん 「うん、これおかーさんと同年代の人や、もっと年配の人に言っても“そんなこと聞いたことない”って言われるんだけど、おかーさんはそう教わったんだよね。でも言葉なんてそんなもんなのよ~」
エメ太郎 「それって“機先を制す”ってところからきてるんだろうか」
おかん 「それはわからないけど。昔は「さき」じゃなくて「せん」っていうのが普通だったのかもしれないね」
エメ太郎 「ええええええ~? その結論はちょっとおかしいよ」
おかん 「そういわれてもおかーさんそこまでわかんないもーん」
エメ太郎 「もーんいうな」
洗い物とともに親子の会話終了。
ってわけでこれについても調べてみたんですが。
辞書に普通に載ってたよっ!ガ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ン!!
じーちゃんすげぇ……。
ってか、もしかしてこれって常識だったのかしら。
無知を晒すようでお恥ずかしいのですが、皆様これ知ってたりしました?;;
昔は「さき」じゃなくて概ね「せん」だったのか?
謎は深まるばかり。
嗚呼日本語って難しい……
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