月曜日はエメ太郎がボランティアに出かけていく日であります。
(例外もありますが、月曜日はほぼ確定で参加しています)
最初の頃は、最寄の駅に出るまでにバスを使用していたのですが、だいぶ慣れてきたこともあって最近では天気が良く、時間に余裕があるときには駅まで歩くことにしています。
最寄り駅への途中、長いトンネルがあるのですが、歩道の幅が狭く、歩行者と自転車利用者との接触事故が絶えないことから、
出入り口にはアルミ板に大きく「トンネル内では自転車を降りましょう」というような注意書きが打ちつけてあります。
が、エメ太郎はこのトンネル内でわざわざ自転車を降りて歩く利用者を見たことがありません(笑)。
前述したように歩道の幅が狭いので、恐ろしい勢いですっ飛ばしていく走行者こそ稀ですが
(ともすると自分がガードレールや壁面に激突する恐れがあるからデスネ)、歩行者がいても彼らは大抵「すいませーん^^;」等と言いながら、遠慮がちに通り過ぎて行くか、チリンチリンチリン!×∞と過剰なまでの(攻撃的な)警告音を発しながら、スピードを落とすこともせずに我が物顔で通り過ぎて行くかのどちらかです。
(後者の場合、エメ太郎は心の中で「いつかつっ転んで痛い目に遭うがいい!」と悪の思念を送っております)
自転車も、乗れば車の仲間入り。
本来なら遠慮がちだろうがなんだろうが彼らは車道を利用すべきなのですが、そのトンネルは車の往来が激しいため自転車で車道を走るにはかなりの危険が伴います。
なので、今までは「仕方がないことなのかなぁ~」なんて考えておりました。
自分が彼らの立場だった場合、同じようなことをしないとも限りませんしね。
(ハイ、私の場合は自転車を持っていないのでやらずに済んでいるだけの話で、恥ずかしながらそこまで自分が品行方正であるという自信はありません(笑))
さて。
その日、エメ太郎がトンネルの下り坂を下っていたとき、10メートルほどの距離でしょうか
(もっとあったかな……)、少し離れた先を赤いランドセルを背負った女の子が歩いていました。
トンネルの出口を抜け掛かっていた女の子には正午近くの陽の光が降り注いで、ランドセルの赤がピカピカ光っており、ぼんやりそれを眺めていたエメ太郎は「最近の子は幾つくらいまでランドセルを使うのかなぁ~」などと、どうでもいいようなことを考えていました。
(ちなみにエメ太郎は小学校の6年間、めいっぱいランドセルを使い倒しました。
オシャレなお子様がたは3年生か4年生くらいでランドセルを卒業していましたが、エメ太郎の場合当時さしてオシャレに関心がなかった上、やたら拳で語りたがる乱暴な同級生に対して非常に有効な対抗手段〔鈍器? …いや盾か〕として大活躍の逸品だったので手放すことなど考えもしませんでした(笑))
エメ太郎の前を歩いていた女の子は、体よりランドセルの方が大きく見えました。
小学校低学年……もしかすると今春入学したばかりの1年生だったのかもしれません。
「重たいだろうな~(笑)」
と、その後姿を微笑ましく見つめていたときにソレはやってきました。
キキキイィ~! ギッギュイキキィイイィ~!!!
うん、警告ベルでもなんでもなく、大騒音。
(てか警告ベルがあったとしても騒音の方が音量を上回るだろうからあっても意味ナス……)
どんなポンコツ自転車だったらそんな音が出るんだ、ってくらい耳障りなブレーキ音で、そんな状態で果たしてブレーキが効いているのかさえ疑問に感じてしまうほどの音量が後方からどんどん近づいて来たので、エメ太郎は迷わず止まって壁際に寄りました。
(そのトンネル内であまりにもぶつかられることが多いことと、またエメ太郎自身に若干身体的なハンデがあるので、こういう場合はすぐ止まることにしています。……それでも避けられないときもありますが;)
止まって数秒しないうちに騒音が……基、ポンコツ自転車が横を通り過ぎて行ったのですが、運転者はエメ太郎と同じくらいか、それよりちょっと年上くらいの女性でした。
後ろに小さな子供を乗せた二人乗り状態で、ヨロヨロと若干蛇行気味に坂を下っていきます。
「あっぶねーなぁ;」(怒)+(呆)
と、思わず毒づいてしまったとき、ふと嫌な予感が脳裏をよぎりました。
とっさに前を行くランドセルに目を移せば、近づく騒音に振り向くこともせず歩みを進めています。
まさか、大丈夫だよな? と思いつつ、こういうときの嫌な予感というものは往々にして当たるもので……エメ太郎が半ば願うようにそう思ったのとほぼ同時に、その二人乗りのおばさんがモロにランドセルに突っ込んで、
女 の 子 を 撥 ね ま し た 。 (゚Д゚;)
女の子は文字通り吹っ飛んでアスファルトにダイビング。
たぶん、女の子の耳にもあの耳障りな騒音は聞こえてたと思います。
でも子供って割と危機意識なかったりしますよね? 工事現場で遊んだり、転がり落ちたら無事では済まなさそうな場所によじ登ったり……
(皆さんにも大人になってから「ああ、あのときの自分って結構危ないことしてたんだなぁ」って思うことのひとつやふたつ、きっとあると思います)
彼女は後ろからうるさいモノがやって来ることには気づいていたでしょう。
でも、それがまさか自分に危害を加えることなど思いも寄らなかったのではないでしょうか。
私も予感が的中しちゃうなんて思っても見ませんでしたよ;;
女の子が跳ね飛ばされたのと同時に、ほぼ反射的に走り出していたエメ太郎。
具体的に何かしようと考えていたわけではなく、ただびっくりして傍へ行こうとしただけだったのですが、その後すぐに信じられない光景を目にし、さらに口から心臓が飛び出しそうになるくらい驚きました。
アスファルトに叩きつけられて、火がついたように泣き叫ぶ女の子。
悲鳴に近い勢いで痛みを訴える彼女に、加害者たるおばさんが立って(サドルにまたがった状態で)何やら声をかけていたのは視認したのですが、このときのエメ太郎は自転車を止めた
(というより、女の子を撥ねて止まらざるを得なかった?)おばさんが声をかけるだけでなく、自転車から降りて女の子の怪我の具合を見るくらいのことはすると思ってたんですよね。
ところが、おばさんはおもむろにペダルに足をかけ、
泣き叫ぶ女の子を放置して、そのまま 走 り 去 ろ う と し や が り ま し た 。
怒り心頭に発する、怒髪天を衝く。
驚きがそのまま怒りに変わったエメ太郎。
そのときまでにはだいぶ女の子に近づいていましたが、物理的に加害者を引き止められる距離ではなかったので、声を限りに叫びました。
「おい、ちょっと待てよ!(#゜Д゜) ゴルァ!!」
ゴルァ!! までは流石に言ってませんが、顔文字以前の言葉は確かに言いました……
はい、知ってる人は知ってますよね; エメ太郎、短気な上にものごっつ口悪いんです;
女性に対して……というかいい年した大人同士の会話に適当な言葉ではないのは重々承知ですが、それだけ必死だったということで……え、ダメ?;
こういうとき冷静に、きちんとした言葉で話ができるようになりたいんですけどね;
自分でも思った以上の大声が出て驚きましたが、エメ太郎が怒鳴った瞬間、こちらに背を向けていたおばさんの肩が跳ね上がるのがはっきり見えたので、あちらも相当驚いたことと思います。
それから私の方を振り向いたおばさんは、明らかに「ヤバイ!」というような表情で逃げを打とうとしていたのですが、自転車で走り出そうとしたところを、前方から坂を上って来ていた50歳前後の男性に止められました。
(おそらく私だけだったら確実に逃げられていたと思います)
サラリーマン風の男性は、女の子が自転車で撥ね飛ばされたところから一部始終を見ていたらしく、坂を上りながら女の子とおばさん、エメ太郎を交互に見て「どうしよう」といった風情だったのですが、エメ太郎の上記の怒鳴り声の後すぐに走っておばさんの自転車を掴んで止めてくれたのでした。
おばさんは最初とても狼狽した様子だったのですが、途中から開き直ってえらいブスくれた態度に早変わり。「豹変」てのはこういうことを言うんだなと実地で学んだエメ太郎でした。
おばさんを男性に確保してもらっている状態で、泣き続けてる女の子の方を見ると酷い状態で本当に可哀想でした。
両膝はズル剥けで血がだくだく。
腕も手のひらから肘まですり剥いていて、右腕には2~3cm大の小石がめり込んでいる始末。
さらにはそれだけの傷を負った手足でも転倒時のショックを緩和できなかったのか、顔(顎)まで酷く擦り傷がついていました。
はいていたスカートも破れて、フリルのついたブラウスも穴が開いて血まみれ。
私もですが、男性の方もここまで酷いと思わなかったのでしょう、自然とおばさんを見る目が厳しくなります。
骨折ないし、骨にヒビが入っていてもおかしくない状態でしたが、一番心配なのは顎の他に頭を打っていないかということでした。
(顎も人体急所のひとつです。下手したら死にます)
が、当の加害者は「急ぐんですけど」「こっちも子供がいて大変なんです」などと、反省するどころかあくまでも早く現場を去る姿勢を崩さない。
(おばさんの〔自転車の後部座席に座っていた〕子供は女の子の泣き声につられて(?)同じように大泣きしてました。……こっちの子供も色んな意味で怖い思いをしたと思うので、可哀想といえば可哀想……)
おばさんを逃がさないことも大事でしたが、それよりも早く女の子を医者に診せた方がいいので、直接医者に運び込むか、家の人に連絡するか、どうするのが一番いいかを男性と話していたら、だいぶ落ち着いてきた女の子が自分から「電話持ってる」と子供用の携帯を出してくれたので、それを拝借してエメ太郎が家に電話しました。
幸い家には女の子のお母さんがいて、「すぐ行きます!」とのことだったのでホッと一安心。
が、
おばさん 「親に連絡ついたんならもういいでしょ」
ぶ ち っ
この一言に、エメ太郎ブチ切れました。
連邦の黒い魔女風に言うなれば、
「あら! わたくしブチ切れますわよ」といったところでしょうか。
怒りを隠せずおばさんに向かってエメ太郎は詰め寄りました。
エメ太郎 「名前と住所と電話番号教えてもらえますか」
おばさん 「は? なんで他人にそんなこと教えなきゃいけないの」
エメ太郎 「この子(女の子)の治療費や、後日なにかあったときに必要だからです」
おばさん 「親来るんでしょう?!」
エメ太郎 「怪我させたのはそっちでしょう!(怒) 治療費や責任まで放棄する気っすか?」
おばさん 「なんでそんな大げさに騒ぐのよ?!」
エメ太郎 「轢き逃げしようとしたからでしょうガッ!(#゜Д゜) !」
現在入院している我が家のHNMは、かつて保険代理店を営んでいました。
既に店をたたんで数年になりますが「門前の小僧、習わぬ経を読む」で、資格こそないものの姉とエメ太郎には、ある程度傷害保険や損害保険等の知識があります。
自動車やバイクは勿論、自転車や人にぶつかったとき、それが「例えかすり傷でも傷を負ったなら相手の名前と連絡先は必ず聞け」とは小さい頃から耳にタコが出来るほどOkanに言い聞かされてきたことのひとつであります。
エメ太郎は今回被害に遭った女の子の親でも友でもなんでもなく、赤の他人ではありましたが、とにかくこの態度の悪い「轢き逃げ上等」の図々しいオバハンから是が非でも連絡先を聞き出して「落とし前をつけさねば」と思うほど怒り狂ってました。
この「住所よこせ」「いやだ」のやり取りが、だんだん同年代同士の不毛な言い争いに突入しそうになった頃、それまで必要最低限な口出ししなかったサラリーマン風の男性がエメ太郎を制して、おばさんに諭す口調で言いました。
・自転車も車と同じ扱いであること
・同じである以上、これは交通事故で人身事故であること
・警察に通報されても仕方がないこと
(暗に轢き逃げをほのめかしてました)
男性の説明を受けているうちに
(「警察」という言葉が出てからは特に)自分の立場がわかってきたおばさんは、徐々におとなしくなっていきました。
この男性がいてくれて本当に良かった……
観念してエメ太郎が持っていた筆記用具に名前と連絡先を書いたおばさん。
ウソ書いてないだろうなと疑いつつ、しばらく女の子のお母さんを待っていたのですが、ボランティアの時間も差し迫っていたきていたので、男性に事情を話したら、
男性 紳士 「ああ、じゃぁ後は私が居ますから行ってください。念のため名刺渡しておきますね」
と、言ってくださったのでお言葉に甘えることにして、おばさんの住所を託し
(念のため自分の手元にも写しを残しましたが)、ボランティア先へ急がせてもらいました。
せめて女の子のお母さんが来るまで待ってあげたかったな、と思いつつ、残ってくださった男性にその日の夕方連絡をとり、そこから女の子の家の連絡先を教えてもらいました。
お礼を言ってから被害者宅へ電話をし、女の子のお母さんに具合を尋ねてみると、なんと外傷以外に
剥 離 骨 折 し て い た こ と が 判 明 ;
頭の打撲については日を改めて検査するそうですが、なにも異常がないことを祈るばかりです。
顎の傷も変に残ったりしないといいなぁ……
男の子ならいい、というわけでは決してありませんが、やっぱり女の子ですからね。顔に傷なんてとんでもない;
おばさんの住所については偽りはなかったようで
(女の子の家も、おばさんの家も我が家の近くでした(笑))、治療費請求等する方向で話をしているとのこと。
お母さんには「是非お礼を!」と言われましたが、私はただ騒ぎ立てていただけで、おばさんを捕まえたのも諭したのも紳士な男性の方だったので、丁重にお断りさせていただきました。
(……というか、未だに思い出しては自らの至らなさに凄く落ち込んでます。もっと突発事に対して冷静にならないとなぁ;)
それにしても、今回自分のダメさ加減の他につくづく感じさせられたのは、自己中心的な人が増えたな~、ということでした。
最近「え?;」と思うようなことを見たり聞いたりすることが立て続けに起こったので、本当にすごく考えさせられました。
……というか、まだ考えさせられ続けています。
日本人はいつからこんなに狭量になってしまったのだろう、と。
エメ太郎の子供の頃は、地域ぐるみで子供を見守るような環境が出来上がっていました。
(その代わり悪さすると他所の親からでも目いっぱいしかられる(笑))
今は近所づきあいとかが希薄になったぶん、そういうものも廃れているのかもしれませんが、助け合いや思いやりといった、個々がそれぞれに持っている筈のものが随分見えにくくなった気がします。
今回のことに限って言えば、
同じ子供を持つ親なら、子供を撥ね飛ばしてしまった瞬間、自分より相手(子供)の心配をするものなんじゃないでしょうか。
後ろに乗せていた自分の子供にはヘルメットをかぶせ、転んだときに最低限の怪我で済むような気配りをしているのだから、他人の子供にだってそれと同じとはいかないまでも、思いやりを示して然るべきなのでは? と思うんですよね。
自分の子供が同じ目に遭ったら、と想像したら、放置して逃げるなんて真似できないと思うんですが……それとも、そのくらいの想像力もないのかな……
エメ太郎には子供はいないので、親の気持は想像することしかできません。
しかし子を持たない私でさえ今回の加害者に対しては手を上げてやりたいくらいの気持ちになったのですから、実母ならグーで殴り倒すくらいの激情に駆られてもおかしくないでしょう。
(……あの血まみれになった女の子のところへ駆けつけたときのお母さんの気持ちを思うと、胸が塞がる思いがします。その場にいませんでしたが、電話でお話した際のお母さんの涙声を思い出すだに辛い気持ちが蘇ります)
その辺りいかがでしょうか、全国のお父さんお母さん!(゜Д゜)9
(そんな人数ここ見てないよ……
自己中心的な人が増えた、というより相互扶助の精神を持てる人が少なくなったのでしょうか。
会社に居たときも似たようなことを考えたことがあります。
……本当はこの辺をもっと掘り下げて書きたかったんですが、事の顛末を書くだけでこんな文章量になってしまいました;
落ち着いたつもりでしたが、まだショック抜けてないのかな(-"-)
ちょっとこのネタ続くかもです。
(ヴァナフェスどーしたっ(笑))
ところで昨日、この話を見舞いがてらに「子を持つ親の気持ちがわかる」HNM・Okanにちらりと話しましたらば、「自転車が女の子を撥ねた」というくだりだけで即座にハイパー化。
「あ、マズイ」と思ったエメ太郎がすぐ話題転換というスタンを入れたのですが、間に合わず
(いや、レジストか?)バーサクどころかアケロンフレイム発動状態で、自分のことのように怒り狂ってました。
(あれは神スタナーのウエさんでも止めるのはムリに違いない……)
「そういうときはすぐにお母さんに電話しなさいっ! (#゜Д゜) フンガー!!
いっそ警察に通報してやれば良かったのよ!」
Okanよ……引退した保険屋が一体何をどうするんだ;
警察に通報は同意だけれど。
なんだかんだでOkanは入院中でも元気です……
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